採用サイトを作るとき、打ち合わせの時間はたいてい見え方に使われます。トップの写真、色、社員の表情、キャッチコピー。
そこはもちろん大事です。ただ、採用サイトにはもうひとつ、まったく別の軸があります。
採用サイトは、見え方と見つかり方の両方でできています
どれだけ良いサイトでも、求職者にたどり着いてもらえなければ、読まれません。

ブランディングという言葉は、見え方の話として使われることが多いのですが、実際には見つかり方も含みます。探している人の前に、正しい形で出てくること。これも、その会社がどう受け取られるかの一部です。
そして見つかり方のほうは、画面を見ていても分かりません。このページでは、中身の決め方と、見つかり方の設定を、両方ご説明します。
何を載せるか、優先順位をつける
「必要なコンテンツ」を調べると、10個も12個も並んだ一覧が出てきます。全部やろうとすると止まるので、3段階に分けて考えます。
1段階目:これが無いと応募できません
- 募集要項/職種、仕事内容、応募条件、給与、勤務時間、休日、勤務地
- 選考の流れ/応募から入社までの段取りと、それぞれにかかる期間
- 会社の基本情報/事業内容、所在地、設立、従業員数
- 応募フォーム/スマートフォンで最後まで入力できること
ここが揃っていないサイトは、意外にあります。給与が「当社規定による」だけになっている、選考に何回面接があるか書かれていない、といったものです。
2段階目:応募するかどうかを決めるもの
- 働いている人の話/どんな1日を過ごしているか
- 数字/平均勤続年数、有給取得率、育休からの復帰率、残業時間
- よくある質問/聞きにくいことに先に答えておく
数字は、出せるものだけで構いません。1つでもあると、ほかの記述の読まれ方が変わります。
3段階目:余裕が出てから
オフィスツアーの動画、凝ったビジュアル、社員が登場するムービー。効果はありますが、1段階目が欠けたまま作っても応募は増えません。
新卒と中途は、分けるか1つにするか
よく相談をいただくところです。判断は、この2点で決まります。
- 募集の時期がずれているか/新卒は年単位、中途は通年。更新の周期が違います
- 伝えたいことが違うか/新卒は育成と将来像、中途は任される範囲と待遇
両方に当てはまるなら、入口から分けたほうが読みやすくなります。ただし、分けると更新する場所が2倍になります。
更新する人がひとりなら、1つのサイトの中で「新卒の方へ」「中途の方へ」と分岐させるだけで足ります。サイトを分けることが目的ではありません。
社員インタビューが撮れないとき、どうするか
採用サイトの記事を読むと、社員インタビューが当然のように出てきます。ただ、実際には時間が取れない、写真に写りたくない、そもそも人数が少ないという状況があります。
その場合でも、進め方はあります。
- 文章だけで載せる/顔写真の代わりに、職種と入社年次を添える
- 手元や作業の写真にする/顔が写らない角度で、仕事の様子を撮る
- 質問を絞る/長いインタビューではなく、3問だけにする
- 複数人の短い回答を並べる/ひとりに負担を寄せない
「1日の流れ」は、写真なしでも作れて、いちばん読まれるページのひとつです。時間帯ごとに何をしているかを並べるだけで、働く姿が伝わります。
顔写真を出せない人がいるとき
全員分そろえる必要はありません。出せる人だけ出して、出せない人はイニシャルとイラストにするという形で問題ありません。
公開後に「やっぱり下げたい」という話も出ますので、差し替えと削除を社内でできる形にしておくのが大事です。
よくある質問に、何を書くか
ここは、作ると効くのに手を付けられていないことが多いところです。
コツは、面接で実際に聞かれたことを書くことです。求職者が聞きにくいことほど、先に書いておく価値があります。
- 未経験でも応募できますか
- 転勤はありますか
- 残業は月にどれくらいですか
- 面接は何回ありますか。私服で行ってよいですか
- 応募から結果までどれくらいかかりますか
- 入社後、最初はどんな仕事から始まりますか
採用担当の方が電話やメールで繰り返し答えている内容が、そのまま材料になります。
Googleしごと検索に載せる — 構造化データの設定
ここからが、見つかり方の話です。
何のために入れるのか
Googleには、求人だけを集めて表示する仕組みがあります。Googleしごと検索(Google for Jobs)と呼ばれるもので、日本では2019年から使えます。
「職種名 地名」で検索したときに、検索結果の上のほうに、求人だけがまとまった枠が出てくることがあります。あれです。
ここに載るために必要なのが、JobPostingという構造化データです。ページの中に、検索エンジン向けの情報を埋め込んでおく仕組みで、掲載料はかかりません。
検索結果では、どう表示されるのか
通常の検索結果が「タイトルと説明文の2行」なのに対して、しごと検索の枠では、こうした情報が並びます。
- 職種名と会社名
- 勤務地
- 給与
- 雇用形態(正社員・契約社員・パートなど)
- 掲載からの経過日数
- 会社のロゴ、クチコミ評価
そして求職者は、勤務地・職種・雇用形態・投稿日で絞り込めます。
ここが構造化データを入れる理由です。絞り込みの対象になるには、給与や勤務地が「文章の中に書いてある」だけでは足りません。どれが給与で、どれが勤務地なのかを、機械が読める形で示しておく必要があります。
必ず要る5つ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
title | 職種名。「営業職」のように、職種だけを書きます |
description | 仕事内容、資格、スキル、勤務時間などの詳細。HTMLで書けます |
datePosted | 掲載を始めた日 |
hiringOrganization | 採用する会社の情報 |
jobLocation | 勤務地。国名を含めます |
加えて、入れておくと表示が充実するものがあります。
baseSalary/給与。絞り込みに使われますemploymentType/雇用形態。これも絞り込みに使われますvalidThrough/募集の期限jobLocationType/在宅勤務の求人はTELECOMMUTEを指定しますdirectApply/そのページから直接応募できるかどうか
出典:Google 検索セントラル「JobPosting(求人情報)の構造化データ」
つまずきやすいところ
入れてはいるのに載らない、という場合、原因はだいたい決まっています。
- 一覧ページに入れてしまっている/構造化データは求人1件につき1ページです。募集職種が並んだ一覧ページに入れることはできません
- ページの表示内容と食い違っている/構造化データの給与と、ページに書いてある給与が違う
- 応募する手段がない/フォームも連絡先も無いページは対象外です
- description がタイトルと同じ/仕事内容の詳細が要ります
募集が終わったあとが、いちばん大事です
ここは見落とされがちですが、ルールとして決められています。
募集が終わったら、次のどれかを行います。
validThroughに過ぎた日付を入れる- ページを削除して、404 か 410 を返す
- そのページから JobPosting の記述を外す
終わった求人をそのまま残し続けると、Googleから手動による対策を受けることがあります。応募できない求人が出続けることを防ぐためのルールです。
ここまで含めて設計しておかないと、運用に入ってから困ります。「募集を終えるときに何をするか」を、公開前に決めておきます。
早く載せたいときは、どうするか
構造化データを入れても、Googleがそのページを読みに来るまでは掲載されません。求人は出てから決まるまでが短いので、ここで数日待たされるのは痛いところです。
方法は2つあります。
1つめは、Search Consoleの「URL検査」です。求人ページのURLを入れて、インデックス登録をリクエストします。数件の求人を出す会社であれば、これで足ります。公開のたびに1回、手作業でやるだけです。
2つめが、Indexing APIです。Googleは求人情報のURLについて、サイトマップではなくこちらを推奨しています。プログラムから自動で通知できるので、待ち時間が短くなります。
ただし、使えるようにするまでに準備が要ります。
- Google Cloudのプロジェクトを作る
- サービスアカウントを、Search Consoleのオーナーとして登録する
- JobPostingでの利用について、Googleに申請する
利用は無料で、1日あたり200件まで通知できます。求人が常時入れ替わる規模なら、組み込む価値があります。逆に、年に数回の募集であれば、URL検査で十分です。
Indexing APIが使えるのは求人情報とライブ配信イベントだけで、ほかのページには使えません。採用サイトは、その数少ない対象のひとつにあたります。
見た目に現れないので、抜けやすい項目です
構造化データは、ブラウザの画面には一切表示されません。
だから、デザインの確認でも、公開前のチェックでも、話題に上がりにくい項目です。できているかどうかは、ソースを見るか、テストツールにかけるまで分かりません。
採用サイトの相談をお受けするとき、当社が最初に確認するのがここです。見え方は画面で確認できますが、見つかり方は確認しないと分かりません。
公開直前の採用サイトを拝見したときのこと
専門家として相談をお受けするなかで、公開直前の採用サイトを拝見したことがあります。制作したのは、誰もが名前を知っている大手の人材サービス会社でした。
デザインはよくできていました。画面を見ているかぎり、直すところは見当たりません。
ソースを開くと、構造化データは入っていませんでした。Googleしごと検索の対象になりません。
あわせて、募集要項の一部が画像のまま置かれていました。文字として書かれていないので、検索エンジンからも、読み上げソフトからも、そこに何が書いてあるか分かりません。
どちらも、画面を見ていて気づける種類のものではありません。
名前を知っている会社に頼んだから大丈夫、とは限りません
これは、その会社の技術力が低いという話ではないと思っています。採用サイトの評価が、見た目に寄っているということだと受け止めています。
提案でも、社内の承認でも、確認されるのはデザイン案です。構造化データが入っているかどうかを聞かれる場面が、そもそもありません。聞かれないものは、作業の優先順位からも外れていきます。
ですので、発注する側から聞いていただくのが、いちばん確実です。「JobPostingの構造化データは入りますか」「募集が終わったときの処理はどうなりますか」。この2つを聞くだけで、話が変わります。
公開前に確認する項目としても、この2つは押さえておいていただきたいところです。
更新が続く形にしておく
採用サイトは、公開して終わりになりません。募集職種が変わり、要項が変わり、募集が終わります。
そのたびに制作会社へ依頼する形にすると、費用と時間がかかって、だんだん更新されなくなります。古い募集要項が残ったままのサイトは、こうしてできあがります。
当社では、採用担当の方が自分で更新できる形で作ります。募集要項の追加・修正・掲載終了までを、社内で完結できるようにします。
構造化データも、要項を書き換えれば自動で追従するようにしておきます。ここを手作業にすると、必ずどこかでずれます。
更新の頻度は、どれくらいがよいか
決まった正解はありません。ただ、募集要項が変わったときに、すぐ直せることのほうが、頻度より大事です。
月1回まとめて直す運用でも、内容が合っていれば問題ありません。直せない状態のまま放置されることが、いちばん困ります。
費用の考え方
ページ数と、原稿・写真をどちらが用意するかで変わります。社員インタビューの取材と撮影を含めるかどうかで、大きく変わります。
本体サイトの中に採用ページを追加する形と、独立した採用サイトを立てる形でも、規模が違います。考え方はホームページ制作の料金にまとめています。
制作した採用サイト
病院・医療機関の採用については、病院のホームページ制作|医局・看護部・採用サイトの分け方にまとめています。看護部のサイトを別に立てる場合の考え方も、こちらに書いています。
よくあるご質問
Googleしごと検索に載せるのに、料金はかかりますか
かかりません。構造化データを正しく入れて、Googleにページを認識してもらえれば掲載の対象になります。
すでにある採用サイトに、構造化データだけ追加できますか
できます。制作したのが当社でなくても対応いたします。まず現状を確認して、何が足りないかをお伝えします。
求人媒体に出していれば、採用サイトは要りませんか
媒体は掲載期間が決まっていて、載せられる情報量にも枠があります。媒体で見つけた方が、会社名で検索して見にくる先が採用サイトです。役割が違うので、両方あると噛み合います。
募集していない時期は、採用サイトをどうすればいいですか
ページは残しつつ、JobPostingの記述は外すか、期限を過ぎた日付にしておきます。会社を知ってもらうページとしては、募集していない時期も働きます。
採用サイトは、本体サイトと分けたほうがいいですか
更新する人が分かれているなら、分けたほうが動きます。ひとりで両方を見るなら、本体サイトの中に置くほうが続きます。
社員に協力してもらえるか分かりません
顔写真なし、短い回答だけ、という形でも作れます。まずは「1日の流れ」から始めるのが、いちばん負担が軽くて効果が出ます。
ご相談ください
新しく作る場合も、いまの採用サイトを見直す場合も、まず何が足りないかを確認するところからお受けしています。
創業から23年、500社を超えるお客様のサイトに関わってきました。大阪から、全国に対応しています。



