病院のホームページを新しくすることになったとき、最初に決めるのは「どこまでを1つのサイトにするか」です。
制作会社の選び方から入ると、ここが飛ばされます。
そして公開してから、「医局のページが本体に埋もれている」「看護師の応募が来ない」という話になります。

このページは、発注する側の手順としてまとめています。
サイトの分け方、それぞれに載せるもの、依頼する前に決めておくこと。順に見ていきます。
1つの病院に、サイトは1つとは限りません
病院には、読み手の違うサイトが並んでいることがあります。
| サイト | 主な読み手 | 読み手が知りたいこと |
|---|---|---|
| 本体サイト | 患者様・ご家族 | 診療時間、休診、診療科、担当医、行き方 |
| 診療科・医局サイト | 患者様/医師・研修医・研究者 | 診療内容、研究業績、学会発表、施設認定、医局員募集 |
| 看護部サイト | 看護学生・転職を考える看護師/在職者 | 配属、夜勤体制、教育、キャリア、先輩の働き方 |
| 採用サイト | 医療技術職・事務職 | 職種、待遇、選考の流れ |
読み手が違うので、同じ作りにすると、どれも中途半端になります。
同じ病院でも、本体は事務が、医局は医局が、看護部は看護部が更新している。更新する人も分かれていることがほとんどです。ここも、1つにまとめるか分けるかの判断材料になります。
分けるか、1つにまとめるか
判断は、おおむねこの3点で決まります。
- 更新する人が分かれているか/分かれているなら、サイトも分けたほうが動きます
- 読み手が本体サイトを経由して来るか/看護学生は病院名ではなく「看護部」で探します
- 載せる情報の性格が違うか/研究業績と外来担当表は、同じページには置けません
3つとも当てはまるなら、分けたほうが結果が出ます。逆に、更新する人が1人なら、分けると更新が止まります。
診療科・医局のサイトは、何が違うのか
医局のサイトは、病院本体とは別に運用されていることがよくあります。
載せるものが違います
診療内容と外来担当表に加えて、研究業績、学会発表、論文、施設認定、専門医の在籍状況。そして医局員の募集と、同門会の案内。
患者様向けの情報と、医師向けの情報が、1つのサイトに同居します。入口をどう分けるかが、医局サイトの設計の中心です。
更新の主体が、広報ではありません
本体サイトは事務や広報が更新しますが、医局サイトを更新するのは医局です。多くの場合、担当の先生が本来の業務の合間にやります。
ですので、更新の手間がそのまま更新頻度に出ます。学会発表を1本追加するのに手順が5つあると、止まります。ここは作るときに詰めておくところです。
教授が代わると、方針が変わります
医局サイトならではの事情です。数年先に方針が変わる前提で、差し替えやすく作っておくと、作り直しになりません。
当社が手がけた奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学様の公式サイトも、この診療科サイトにあたります。制作の詳細は大学病院のホームページ制作実績|奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学様にまとめています。
看護部のサイトを、別に作るという選択
看護師の採用は、本体サイトの中で完結しないことが多くあります。
求職者が知りたいのは診療実績ではなく、配属先、夜勤の回数と体制、教育とキャリアの道筋、寮や託児所、有給の取りやすさ。そして実際に働いている人の様子です。
本体サイトの採用ページ1枚では、ここまで入りません。
看護部サイトで、実際に見られているもの
- 1日の流れ/時間帯ごとに何をしているかが分かるもの
- 教育プログラム/新人からの年次ごとの道筋
- 先輩の声/部署と年次を明記したもの
- 部署の紹介/病棟ごとの特徴と看護体制
- 数字/看護配置、離職率、有給取得、育休復帰率
数字は、出せるものだけで構いません。1つでもあると、ほかの記述の説得力が変わります。
看護部サイトは、看護部で更新できる形に
インターンシップや説明会の日程は、時期が来たら出して、終わったら下げます。ここを事務経由にすると間に合いません。
看護部の担当者が直接更新できる範囲を決めておくのが、いちばん回ります。
病院のホームページに、掲載の義務はあるのか
「サイトを持たなければならない」という義務はありません。
ただし、サイトを持つなら、書いてよいことと書いてはいけないことが法律で決まっています。よく検索されている「義務はあるの?」という問いの実体は、たいていこちらです。
2018年から、サイトも広告規制の対象です
2018年6月の改正医療法により、それまで規制の外にあった医療機関のウェブサイトが、広告規制の対象になりました。医院名で運用するSNSアカウントも含まれます。
禁止されているのは、虚偽広告、他院との比較優良広告、誇大広告、公序良俗に反する内容、患者の体験談、誤認させるビフォーアフター写真などです。
違反した場合は行政指導から始まり、中止命令・是正命令に至ります。命令に従わなければ、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。
ガイドラインは、2026年3月に改正されています
名称も「医療広告等ガイドライン」に変わりました。あわせて「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」が第6版(令和8年3月30日)になり、SNS広告と動画広告の事例が節として整理されています。プロフィール欄、投稿、返信、動画のタイトルや概要欄まで、それぞれ対象として明記されました。
これから依頼するなら、参照するのは第6版です。採用サイトや看護部サイトも、医療機関が出す情報である以上、同じ考え方で見ます。
出典:厚生労働省「医療広告規制について」/医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)
公的な病院は、もう一段の水準があります
公立病院、公立大学附属病院、国立病院機構、地方独立行政法人が運営する病院。これらは障害者差別解消法上の「行政機関等」にあたります。
| 公的な病院 | 医療法人の病院・クリニック | |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 行政機関等 | 民間事業者 |
| 合理的配慮の提供 | 2016年から法的義務 | 2024年4月から法的義務 |
| ウェブアクセシビリティ | 努力義務。ただしJIS X 8341-3:2016 レベルAA準拠が目標水準として示されています | 努力義務 |
| 医療広告等ガイドライン | どちらも対象です | |
公立大学法人は地方独立行政法人にあたるため、ここに含まれます。医局サイトも看護部サイトも、その病院が公的であれば同じ水準で見られます。
参考:総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン」
依頼する前に、決めておくこと
ここが決まっていると、複数社から集めた見積りを比べられます。
1. 対象範囲
ページ数。既存サイトのどこまでを作り直すか。医局サイト・看護部サイトを含むのか、別で進めるのか。PDFの作り直しを含むのか。
PDFはとくに揉めます。数百枚あることも珍しくなく、含むか含まないかで金額が大きく変わります。
2. 原稿と写真を、どちらが用意するか
原稿は病院側で用意するのか、取材して書き起こしてもらうのか。写真は既存を使うのか、撮影するのか。
ここが抜けたまま進むことが、いちばん多いところです。依頼を受けた側は「支給される前提」で見積り、病院側は「作ってもらえる前提」でいる。着手してから分かります。
看護部サイトは、先輩の声と部署紹介で人物写真が要るので、ここを決めずに始めると止まります。
3. アクセシビリティの到達水準
「アクセシビリティに配慮すること」ではなく、規格・レベル・対象範囲・試験の有無まで決めます。
JIS X 8341-3:2016 のレベルAAに準拠すること。対象範囲は全ページとする。
達成度合いについて試験を実施し、試験結果表示を納品物に含めること。
この一文があるかどうかで、納品時に確認できることが変わります。
4. 医療広告等ガイドラインへの対応
原稿のチェックを誰が行うか。表現の修正提案まで含むのか。事例解説書の第何版に準拠するのか。
5. 公開後の運用
誰が、どのページを、どの頻度で更新するのか。保守の範囲と月額。ここを決めないと、公開した瞬間から止まります。
6. 引き継ぎ
ドメイン、サーバー、CMSの管理権限、ソースコード。次に別のところへ移すときに何が渡されるのかを、最初に決めておきます。
依頼先を選ぶときに見るところ
提案を比べるとき、デザイン案に目が行きがちです。ただ、公開後に効いてくるのは別のところです。
- 診療科が増減したとき、誰がどこを直すのかを答えられるか
- 外来担当表の更新を、病院側の手でできる仕組みになっているか
- 休診情報が、院内の別システムと二重管理にならない作りか
- 医局・看護部・事務で編集権限を分けられる作りか
- アクセシビリティについて、試験結果を出す前提で話しているか
- 医療広告等ガイドラインについて、最新版を把握しているか
デザイン案は、公開後に差し替えられます。更新の設計は、あとからでは直せません。
納品されたものを、どう確認するか
アクセシビリティについては、総務省が適切でない取組を具体的に挙げています。そのひとつが、構築した側が自分で試験を行っているケースです。客観性を担保できていない、という理由です。
とはいえ、病院側で試験を行うのは現実的ではありません。制作したところとは別で確認するという選択肢があることを、知っておいていただければ十分です。
詳しくはウェブアクセシビリティ診断・改善サービスと、病院サイトのウェブアクセシビリティ改善にまとめています。
公開後に、いちばん揉めるところ
更新の権限を、どこで分けるか
医局、看護部、広報、事務。それぞれが更新したいページを持っています。全員が全ページを触れる状態にすると、責任の所在がなくなります。逆に事務だけに集めると、依頼が滞って情報が古くなります。
ページ単位で編集権限を分けておくのが、いちばん揉めません。
非常勤医師の氏名をどう扱うか
外来担当表に非常勤の先生のお名前を載せるかどうか。載せる場合、交代のたびに更新が必要になります。
氏名を出さず「担当医」と表示する運用にするのか、出すなら誰が更新するのか。公開前に決めておく項目です。
休診情報の二重管理
院内の予約システムと、サイトのお知らせ。同じ情報を2か所で管理すると、必ずどちらかが古くなります。
連携できるならそれが最善ですが、難しいことも多いので、どちらを正とするかを決めて、片方は参照にとどめるという整理をします。
費用の考え方
ページ数と、原稿・写真をどちらが用意するかで大きく変わります。同じページ数でも、取材と撮影を含むかどうかで倍近く違います。
医局サイトや看護部サイト単体であれば、本体サイトより小さい規模で収まります。まず範囲を決めるところからご相談いただくのが早いです。考え方はホームページ制作の料金にまとめています。
流楽は、受注する側にも、発注する側にも
制作をお引き受けすることもできますし、病院様の側に立って、依頼内容の整理・依頼先の選定・納品の確認を支援することもできます。
すでに大手の制作会社に決まっている場合でも、発注側として何を求め、何を確認すべきかの部分だけをお手伝いできます。
創業から23年、500社を超えるお客様のサイトに関わってきました。
医療機関のサイトも、病院サイトから診療科サイト、看護部求人サイトまで数多く手がけています。
よくあるご質問
Q. 病院のホームページ制作の費用は、いくらくらいですか
A. ページ数と、原稿・写真の用意をどちらが行うかで変わります。
医局サイトのような小規模なものと、診療科が多数ある本体サイトでは、規模がまったく違います。料金のページに考え方を載せています。
Q. 病院のホームページの目的は何ですか
A. 来院前に読まれるサイトなので、受診の判断に必要な情報が、迷わず取れることが第一です。
診療時間、休診、診療科、担当医、行き方。ここが整っていないと、電話での問い合わせが増えます。
そのうえで、医師・看護師の採用、地域連携、研究広報といった目的が乗ります。どれを主にするかで、構成が変わります。
Q. 医局のサイトだけを作ってもらうことはできますか
A. はい、対応可能です。
病院本体のサイトとは別に、診療科・医局単位で制作する形です。
Q. 看護部のサイトだけでもお願いできますか
A. はい、こちらも対応しています。
本体サイトを触らずに、看護部サイトだけを新しく立てることも可能です。ドメインの取り方や、本体サイトからの動線の作り方からご相談ください。
Q. すでに他社で作ったサイトでも相談できますか
A. はい、対応させていただきます。
制作したところが当社でなくても、診断・改善・運用のご相談をお受けしています。
ご相談ください
範囲が決まっていない段階でのご相談で大丈夫です。本体・医局・看護部・採用を、どう分けるかの整理から始めます。
大阪から、全国の医療機関様に対応しています。



