2026 09 27 Sun

ECサイトの改善|リニューアルせずにBASE・カラーミーを改善する

更新(初出 2025 年 8 月 25 日) by 松崎

Web集客・Webマーケティング

「作り直したほうがいいのは分かっている。でも、そんな時間も予算もない」

ネットショップを運営されている方から、いちばん多くうかがう声です。

オフィスでスマートフォンを見て確認しながら、ミーティングを行う3名のスタッフ

日々の受注と発送があり、写真を撮って、商品を登録して、問い合わせに返して。サイトを一から作り直すプロジェクトを立ち上げる余裕は、現実にはありません。

そのまま何年か経って、「もう全部作り直すしかない」という状態になってから相談をいただくことがあります。その前に、できることがあります。

目次

市場は伸びています。伸びていないなら、何かが止まっています

経済産業省の調査によると、物販系のBtoC-EC市場は15兆2,194億円。前年から3.70%増えています。EC化率も9.78%と、0.40ポイント上がりました。(出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」令和6年度)

ここで見ていただきたいのは、市場が伸びているという点です。

全体が3.7%伸びているなかで、自分のショップの売上が横ばいだとすると、市場のなかでの位置は下がっています。「変わっていない」のではなく、相対的には後退しています。

EC化率9.78%という数字も、裏返せばまだ9割はネット以外で買われているということです。取りにいける余地は残っています。

リニューアルしたのに、売上が下がることがあります

思い切ってリニューアルしたのに、売上が変わらなかった。
あるいは、前より落ちた。

新しいサイトはきれいです。
写真も大きくなり、色も整っています。
それでも注文が増えない。
むしろ、これまで買ってくださっていた方が離れる。

珍しい話ではありません。そして、理由もはっきりしています。

なぜ、そうなるのか

買う人が見ているのは、見た目ではなくこの3つだからです。

  • 自分が求めているものに、答えてくれているか→ 探している条件で選べるか。知りたいことが書いてあるか
  • 欲しい、と思える伝わり方をしているか→ 写真と言葉で、その商品の良さが立ち上がっているか
  • どこにも引っかからずに、スムーズに買い終えられるか→ 迷わず進めて、最後まで到達できるか

この3つは、デザインを新しくしても自動的には変わりません。
きれいな見た目の上に、同じ課題がそのまま乗り替わります。

落ちる場合は、さらに理由が加わります。
これまで買えていた導線が変わってしまうことです。いつもの場所に、いつものものが無い。リピーターほど、この影響を受けます。

これは、確認の仕方の問題です

制作の打ち合わせでも、社内の承認でも、見せられるのはデザイン案だけです。

デザインは、並べれば誰でも良し悪しを言えます。
一方で「求めているものに答えられているか」「欲しいと思える伝わり方か」「引っかからずに買えるか」は、画面を見ているだけでは判断できません。
指摘する人がいなければ、議題にも上がりません。

結果として、見た目だけが新しくなったサイトができあがります。
誰かが手を抜いたわけではなく、確認する項目に入っていなかった、ということです。

流行りのカートに替えても、売上は上がりません

「Shopifyにすれば売れる」

この言葉を信じて移行を決めた、というご相談をよく受けます。
「やっぱり、今はShopifyですよね」のような。
何を根拠にそう言っているのか、不思議です。

ちなみに、Shopifyで色々やってます

当社はShopifyパートナーです。
そして、Shopify App Storeの審査を通過した自社アプリも公開しています。
で、BASEオフィシャルパートナー、カラーミーショップ制作パートナーでもあります。

そのうえで言います。
Shopifyは、とても優れたプラットフォームです。
拡張性が高く、越境ECにも強い。使うべき場面は確実にあります。
ただし、「Shopifyにしたこと」そのものは、売上が伸びる理由になりません。

なぜ、そう見えてしまうのか

理由があります。成功事例の語られ方です。

「Shopifyに移行して売上が◯倍になりました」という事例は、たしかにあります。
ただ、その移行の過程では、商品ページを全部作り直し、写真を撮り直し、説明文を書き直し、購入までの流れを組み直しています。

伸びたのは、そちらの仕事です。カートを替えたことと、中身を作り直したことが、1つの話にまとまって語られているということです。

先ほどの3つに戻ります。

  • 自分が求めているものに、答えてくれているか
  • 欲しい、と思える伝わり方をしているか
  • どこにも引っかからずに、スムーズに買い終えられるか

カートを替えても、この3つは1つも変わりません。
見た目を綺麗して載せ替えただけなら、同じ課題が新しいカートの上に移るだけです。

むしろ、改善が止まります

カートの移行には、まとまった時間と費用がかかります。
商品データの移行、デザインの再構築、決済と配送の設定、URLの引き継ぎ。

そこに予算と人手を使い切ってしまうと、本当に直すべき中身に手が回らなくなります。移行が終わったころには、疲れて一段落になる。これがいちばん多いパターンです。

いまのカートのままでも、できることが残っているなら、そちらが先です。

もちろん、替えたほうがよい場合もあります

  • いまのカートに、事業に必要な機能がそもそも無い
  • 商品数や受注数が、いまの仕組みで捌ける量を超えた
  • 越境EC、多言語、多通貨に本格的に取り組む
  • 基幹システムとの連携が必要になった

この場合は、移行が正しい判断です。
当社もShopifyでの構築をお引き受けしています。

分けて考えていただきたいのは、「機能が足りないから替える」のか、「替えれば売れると聞いたから替える」のかという点です。前者なら進めてください。後者であれば、先にこの記事の段階1から試してみてください。

カートに入れた人の、7割が買わずに離れています

数字を1つ出します。

Baymard Instituteが50件の調査をまとめた結果によると、カート放棄率の平均は70.19%です。カートに商品を入れた10人のうち、7人が買わずにいなくなります。
そして同じ調査で、購入手続きの設計を見直すだけで、コンバージョン率が平均35.26%改善する余地があるとされています(大規模ECサイトの平均値)。
出典:Baymard Institute「Cart Abandonment Rate Statistics」

ここが大事なところです。
この35.26%は、サイトを作り直して得られる数字ではありません。購入手続きという、ごく限られた範囲を直すだけの話です。

つまり、作り直さなくても手を入れられる範囲に、これだけの余地が残っているということです。

リニューアルの前に、3つの段階があります

全部を一度にやる必要はありません。上から順に、できるところまで。

やること手が届く範囲
段階1いまのカートのまま、デザインを直す見え方・使いやすさ
段階2足りていないコンテンツを足す判断に必要な情報
段階3止まっている箇所を外す購入までの流れ

カートの乗り換えも、システムの入れ替えも必要ありません。いまのショップのままで進みます。

【段階1】いまのカートのまま、デザインを直す

「カスタマイズって、どこまでできるんですか」というご質問をよくいただきます。使っているカートによって、かなり違います。

BASEで、どこまでできるか

できること

  • HTML編集機能を使って、テーマのHTMLとCSSを直接書き換える
  • トップページの構成を組み替える(バナー、特集、カテゴリの並び)
  • 商品ページに、共通の説明ブロックを差し込む
  • フォント、配色、余白、ボタンの形を全面的に変える
  • 有料テーマを購入して、それをベースに手を入れる

できないこと・制約があること

  • カート画面と購入手続きの画面は、BASE側の仕様です。ここは触れません
  • 商品ごとに違うレイアウトを適用する、といった分岐は苦手です
  • 機能の追加は、Apps(拡張機能)で用意されているものの範囲になります
  • HTML編集はテーマごとの設定なので、テーマを切り替えると作業がやり直しになります

「カート画面は触れない」を先に知っておくことが大事です。ここを直したい場合は、段階2と段階3のやり方に切り替えます。

カラーミーショップで、どこまでできるか

カラーミーショップは、自由度がかなり高いほうです。

  • テンプレートを自分で書けます。独自タグを使って、表示する内容を組み立てられます
  • カート周りのページも、テンプレートとして編集できる範囲が広くなっています
  • 商品ごと・カテゴリごとに、違うテンプレートを当てられます
  • 独自のフリーページを作って、特集や使い方を載せられます

そのぶん、触れる範囲が広い=作業量も増えます。どこまでやるかを決めてから始めないと、終わりが見えなくなります。

費用の考え方

やり方費用向いている場合
自分で手を入れる0円(時間はかかります)色や余白の調整など、範囲がはっきりしている
有料テーマを買って使う数千円〜数万円いまのテーマの構成そのものを変えたい
有料テーマを買って、直してもらうテーマ代+数万円〜土台は既製品でよく、自店に合わせたい
いまのショップを個別に直してもらう数万円〜数十万円直したい箇所が決まっている

作り直しと違って、ここは段階的に進められます。まず1か所直して、様子を見てから次に進む、という形が取れます。

当社では、BASEのテーマを自社で制作して販売しています。BASEデザインテーマもあわせてご覧ください。

【段階2】足りていないコンテンツを足す

デザインを整えても、買うかどうかを決める材料が無ければ、決まりません。

足りていないことが多いのは、この5つです。

1. 送料と、届くまでの日数

商品ページから探さないと分からない状態になっていることがあります。金額を見た直後に知りたい情報なので、商品ページの中に置きます。

2. サイズ・容量・素材の、具体的な数字

「Mサイズ」ではなく、実寸を書きます。手元にあるものと比べられる形にすると、返品も減ります。

3. 使い方・選び方

商品が並んでいるだけでは、どれを選べばいいか分かりません。「こういう方にはこちら」という案内があると、決まります。

4. よくある質問

問い合わせで繰り返し聞かれることを、そのまま書きます。メールで何度も答えている内容が、いちばん良い材料です。

5. 誰が売っているのか

特定商取引法の表記だけでなく、どんな店なのかが分かるページです。はじめて来た人にとって、ここは判断材料になります。

【段階3】止まっている箇所を外す

当社では、買おうとした人が引っかかる箇所をカスタマーバリアと呼んでいます。

ネットショップでよく見つかるものを挙げます。

  • 会員登録しないと買えない → ゲスト購入を用意できないか確認します
  • 決済手段が少ない → 使いたい方法が無ければ、そこで止まります
  • 入力項目が多い → 購入に不要な項目を外します
  • スマートフォンで入力しづらい → 実機で最後まで入力してみると、すぐ分かります
  • 在庫があるのか分からない → 表示がないと、問い合わせるか、やめるかになります
  • 戻ると入力が消える → これは離脱に直結します

ここは、実際に自分で買ってみるのがいちばん早い方法です。スマートフォンで、決済の直前まで進めてみる。それだけで、いくつか見つかります。

今のショップをサイトスタイリング®で最適化する

当社では、デザイン・性能・使いやすさ・コンテンツの4つを一体で整えることをサイトスタイリング®と呼んでいます。

この考え方は、新しく作るときだけのものではありません。現在のショップに適用することもできます。

  • デザイン → 段階1。いまのカートのまま直せる範囲
  • 性能 → 画像の重さ、表示速度。ASPカートでも改善できる部分があります
  • 使いやすさ → 段階3。止まっている箇所を外す
  • コンテンツ → 段階2。判断材料を足す

4つのうち1つだけを直しても、結果は出にくくなります。リニューアルしたのに数字が動かない、あるいは下がる。その理由はここにあります。デザインだけが新しくなり、残りの3つがそのままだからです。

サイトスタイリング®は有限会社流楽の登録商標です。

どこから手をつけるか

順番に迷ったときは、この順で見ます。

  1. スマートフォンで、自分の店で買ってみる → 止まる箇所が出たら、そこが最優先です
  2. 送料と納期が商品ページで分かるか → ここは費用をかけずに直せます
  3. 単なる商品説明になってないか → ここも費用をかけずに自分でできます
  4. よく売れている商品のページ → 全ページではなく、売れている数点から手を入れます
  5. トップページ → じつは、いちばん後で構いません

トップページから直したくなりますが、多くの場合、お客様は商品ページに直接来ています。効果が出る順番とは違います。

これまでに手がけたショップ

よくあるご質問

Q. カートを変えずに、本当に改善できますか

A. できます。
むしろ、カートを変えると移行作業に時間と費用がかかり、改善そのものが後回しになります。いまのカートで手が届く範囲から始めるほうが、早く結果が出ます。

Q. BASEのカート画面は、どうやっても直せませんか

A. 画面そのものはBASE側の仕様です。
ただ、そこに至るまでに情報を出しておくことで、離脱は減らせます。送料と納期を商品ページに書いておく、といった対応です。

Q. どれくらいの費用から相談できますか

A. 直したい箇所が1〜2か所であれば、数万円から対応しています。
まず何を直すべきかを見るところからお受けしていますので、範囲が決まっていない状態でご相談ください。

Q. 自分でやるか、頼むかの判断はどうすればいいですか

A. 色や余白の調整であれば、ご自身でも進められます。
HTMLの構造に手を入れる必要が出てきたら、そこからはご相談ください。途中で表示が崩れると、元に戻すほうが大変になります。

Q. 作り直したほうが早い、という場合もありますか

A. あります。
カートの機能が事業のやり方に合っていない場合や、扱う商品数が大きく増えた場合です。その場合はECサイト制作・構築でご相談ください。判断がつかない段階でも構いません。

Q. 何が原因で売れていないのか、自分では分かりません

A. 専用ツールとAIで分析するECサイトの分析・診断もご用意しています。
原因の切り分けから始めたい場合は、こちらをご覧ください。

ご相談ください

作り直す前に、できることがあります。1か所ずつでも構いません。

創業から23年、500社を超えるお客様のサイトに関わってきました。大阪から全国どこでも対応しています。