「作り直したほうがいいのは分かっている。でも、そんな時間も予算もない」
ネットショップを運営されている方から、いちばん多くうかがう声です。

日々の受注と発送があり、写真を撮って、商品を登録して、問い合わせに返して。サイトを一から作り直すプロジェクトを立ち上げる余裕は、現実にはありません。
そのまま何年か経って、「もう全部作り直すしかない」という状態になってから相談をいただくことがあります。その前に、できることがあります。
市場は伸びています。伸びていないなら、何かが止まっています
経済産業省の調査によると、物販系のBtoC-EC市場は15兆2,194億円。前年から3.70%増えています。EC化率も9.78%と、0.40ポイント上がりました。(出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」令和6年度)
ここで見ていただきたいのは、市場が伸びているという点です。
全体が3.7%伸びているなかで、自分のショップの売上が横ばいだとすると、市場のなかでの位置は下がっています。「変わっていない」のではなく、相対的には後退しています。
EC化率9.78%という数字も、裏返せばまだ9割はネット以外で買われているということです。取りにいける余地は残っています。
リニューアルしたのに、売上が下がることがあります
思い切ってリニューアルしたのに、売上が変わらなかった。
あるいは、前より落ちた。
新しいサイトはきれいです。
写真も大きくなり、色も整っています。
それでも注文が増えない。
むしろ、これまで買ってくださっていた方が離れる。
珍しい話ではありません。そして、理由もはっきりしています。
なぜ、そうなるのか
買う人が見ているのは、見た目ではなくこの3つだからです。
- 自分が求めているものに、答えてくれているか→ 探している条件で選べるか。知りたいことが書いてあるか
- 欲しい、と思える伝わり方をしているか→ 写真と言葉で、その商品の良さが立ち上がっているか
- どこにも引っかからずに、スムーズに買い終えられるか→ 迷わず進めて、最後まで到達できるか
この3つは、デザインを新しくしても自動的には変わりません。
きれいな見た目の上に、同じ課題がそのまま乗り替わります。
落ちる場合は、さらに理由が加わります。
これまで買えていた導線が変わってしまうことです。いつもの場所に、いつものものが無い。リピーターほど、この影響を受けます。
これは、確認の仕方の問題です
制作の打ち合わせでも、社内の承認でも、見せられるのはデザイン案だけです。
デザインは、並べれば誰でも良し悪しを言えます。
一方で「求めているものに答えられているか」「欲しいと思える伝わり方か」「引っかからずに買えるか」は、画面を見ているだけでは判断できません。
指摘する人がいなければ、議題にも上がりません。
結果として、見た目だけが新しくなったサイトができあがります。
誰かが手を抜いたわけではなく、確認する項目に入っていなかった、ということです。
流行りのカートに替えても、売上は上がりません
「Shopifyにすれば売れる」
この言葉を信じて移行を決めた、というご相談をよく受けます。
「やっぱり、今はShopifyですよね」のような。
何を根拠にそう言っているのか、不思議です。
ちなみに、Shopifyで色々やってます
当社はShopifyパートナーです。
そして、Shopify App Storeの審査を通過した自社アプリも公開しています。
で、BASEオフィシャルパートナー、カラーミーショップ制作パートナーでもあります。
そのうえで言います。
Shopifyは、とても優れたプラットフォームです。
拡張性が高く、越境ECにも強い。使うべき場面は確実にあります。
ただし、「Shopifyにしたこと」そのものは、売上が伸びる理由になりません。
なぜ、そう見えてしまうのか
理由があります。成功事例の語られ方です。
「Shopifyに移行して売上が◯倍になりました」という事例は、たしかにあります。
ただ、その移行の過程では、商品ページを全部作り直し、写真を撮り直し、説明文を書き直し、購入までの流れを組み直しています。
伸びたのは、そちらの仕事です。カートを替えたことと、中身を作り直したことが、1つの話にまとまって語られているということです。
先ほどの3つに戻ります。
- 自分が求めているものに、答えてくれているか
- 欲しい、と思える伝わり方をしているか
- どこにも引っかからずに、スムーズに買い終えられるか
カートを替えても、この3つは1つも変わりません。
見た目を綺麗して載せ替えただけなら、同じ課題が新しいカートの上に移るだけです。
むしろ、改善が止まります
カートの移行には、まとまった時間と費用がかかります。
商品データの移行、デザインの再構築、決済と配送の設定、URLの引き継ぎ。
そこに予算と人手を使い切ってしまうと、本当に直すべき中身に手が回らなくなります。移行が終わったころには、疲れて一段落になる。これがいちばん多いパターンです。
いまのカートのままでも、できることが残っているなら、そちらが先です。
もちろん、替えたほうがよい場合もあります
- いまのカートに、事業に必要な機能がそもそも無い
- 商品数や受注数が、いまの仕組みで捌ける量を超えた
- 越境EC、多言語、多通貨に本格的に取り組む
- 基幹システムとの連携が必要になった
この場合は、移行が正しい判断です。
当社もShopifyでの構築をお引き受けしています。
分けて考えていただきたいのは、「機能が足りないから替える」のか、「替えれば売れると聞いたから替える」のかという点です。前者なら進めてください。後者であれば、先にこの記事の段階1から試してみてください。
カートに入れた人の、7割が買わずに離れています
数字を1つ出します。
Baymard Instituteが50件の調査をまとめた結果によると、カート放棄率の平均は70.19%です。カートに商品を入れた10人のうち、7人が買わずにいなくなります。
そして同じ調査で、購入手続きの設計を見直すだけで、コンバージョン率が平均35.26%改善する余地があるとされています(大規模ECサイトの平均値)。
出典:Baymard Institute「Cart Abandonment Rate Statistics」
ここが大事なところです。
この35.26%は、サイトを作り直して得られる数字ではありません。購入手続きという、ごく限られた範囲を直すだけの話です。
つまり、作り直さなくても手を入れられる範囲に、これだけの余地が残っているということです。
リニューアルの前に、3つの段階があります
全部を一度にやる必要はありません。上から順に、できるところまで。
| やること | 手が届く範囲 | |
|---|---|---|
| 段階1 | いまのカートのまま、デザインを直す | 見え方・使いやすさ |
| 段階2 | 足りていないコンテンツを足す | 判断に必要な情報 |
| 段階3 | 止まっている箇所を外す | 購入までの流れ |
カートの乗り換えも、システムの入れ替えも必要ありません。いまのショップのままで進みます。
【段階1】いまのカートのまま、デザインを直す
「カスタマイズって、どこまでできるんですか」というご質問をよくいただきます。使っているカートによって、かなり違います。
BASEで、どこまでできるか
できること
- HTML編集機能を使って、テーマのHTMLとCSSを直接書き換える
- トップページの構成を組み替える(バナー、特集、カテゴリの並び)
- 商品ページに、共通の説明ブロックを差し込む
- フォント、配色、余白、ボタンの形を全面的に変える
- 有料テーマを購入して、それをベースに手を入れる
できないこと・制約があること
- カート画面と購入手続きの画面は、BASE側の仕様です。ここは触れません
- 商品ごとに違うレイアウトを適用する、といった分岐は苦手です
- 機能の追加は、Apps(拡張機能)で用意されているものの範囲になります
- HTML編集はテーマごとの設定なので、テーマを切り替えると作業がやり直しになります
「カート画面は触れない」を先に知っておくことが大事です。ここを直したい場合は、段階2と段階3のやり方に切り替えます。
カラーミーショップで、どこまでできるか
カラーミーショップは、自由度がかなり高いほうです。
- テンプレートを自分で書けます。独自タグを使って、表示する内容を組み立てられます
- カート周りのページも、テンプレートとして編集できる範囲が広くなっています
- 商品ごと・カテゴリごとに、違うテンプレートを当てられます
- 独自のフリーページを作って、特集や使い方を載せられます
そのぶん、触れる範囲が広い=作業量も増えます。どこまでやるかを決めてから始めないと、終わりが見えなくなります。
費用の考え方
| やり方 | 費用 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自分で手を入れる | 0円(時間はかかります) | 色や余白の調整など、範囲がはっきりしている |
| 有料テーマを買って使う | 数千円〜数万円 | いまのテーマの構成そのものを変えたい |
| 有料テーマを買って、直してもらう | テーマ代+数万円〜 | 土台は既製品でよく、自店に合わせたい |
| いまのショップを個別に直してもらう | 数万円〜数十万円 | 直したい箇所が決まっている |
作り直しと違って、ここは段階的に進められます。まず1か所直して、様子を見てから次に進む、という形が取れます。
当社では、BASEのテーマを自社で制作して販売しています。BASEデザインテーマもあわせてご覧ください。
【段階2】足りていないコンテンツを足す
デザインを整えても、買うかどうかを決める材料が無ければ、決まりません。
足りていないことが多いのは、この5つです。
1. 送料と、届くまでの日数
商品ページから探さないと分からない状態になっていることがあります。金額を見た直後に知りたい情報なので、商品ページの中に置きます。
2. サイズ・容量・素材の、具体的な数字
「Mサイズ」ではなく、実寸を書きます。手元にあるものと比べられる形にすると、返品も減ります。
3. 使い方・選び方
商品が並んでいるだけでは、どれを選べばいいか分かりません。「こういう方にはこちら」という案内があると、決まります。
4. よくある質問
問い合わせで繰り返し聞かれることを、そのまま書きます。メールで何度も答えている内容が、いちばん良い材料です。
5. 誰が売っているのか
特定商取引法の表記だけでなく、どんな店なのかが分かるページです。はじめて来た人にとって、ここは判断材料になります。
【段階3】止まっている箇所を外す
当社では、買おうとした人が引っかかる箇所をカスタマーバリアと呼んでいます。
ネットショップでよく見つかるものを挙げます。
- 会員登録しないと買えない → ゲスト購入を用意できないか確認します
- 決済手段が少ない → 使いたい方法が無ければ、そこで止まります
- 入力項目が多い → 購入に不要な項目を外します
- スマートフォンで入力しづらい → 実機で最後まで入力してみると、すぐ分かります
- 在庫があるのか分からない → 表示がないと、問い合わせるか、やめるかになります
- 戻ると入力が消える → これは離脱に直結します
ここは、実際に自分で買ってみるのがいちばん早い方法です。スマートフォンで、決済の直前まで進めてみる。それだけで、いくつか見つかります。
今のショップをサイトスタイリング®で最適化する
当社では、デザイン・性能・使いやすさ・コンテンツの4つを一体で整えることをサイトスタイリング®と呼んでいます。
この考え方は、新しく作るときだけのものではありません。現在のショップに適用することもできます。
- デザイン → 段階1。いまのカートのまま直せる範囲
- 性能 → 画像の重さ、表示速度。ASPカートでも改善できる部分があります
- 使いやすさ → 段階3。止まっている箇所を外す
- コンテンツ → 段階2。判断材料を足す
4つのうち1つだけを直しても、結果は出にくくなります。リニューアルしたのに数字が動かない、あるいは下がる。その理由はここにあります。デザインだけが新しくなり、残りの3つがそのままだからです。
サイトスタイリング®は有限会社流楽の登録商標です。
どこから手をつけるか
順番に迷ったときは、この順で見ます。
- スマートフォンで、自分の店で買ってみる → 止まる箇所が出たら、そこが最優先です
- 送料と納期が商品ページで分かるか → ここは費用をかけずに直せます
- 単なる商品説明になってないか → ここも費用をかけずに自分でできます
- よく売れている商品のページ → 全ページではなく、売れている数点から手を入れます
- トップページ → じつは、いちばん後で構いません
トップページから直したくなりますが、多くの場合、お客様は商品ページに直接来ています。効果が出る順番とは違います。
これまでに手がけたショップ
よくあるご質問
Q. カートを変えずに、本当に改善できますか
A. できます。
むしろ、カートを変えると移行作業に時間と費用がかかり、改善そのものが後回しになります。いまのカートで手が届く範囲から始めるほうが、早く結果が出ます。
Q. BASEのカート画面は、どうやっても直せませんか
A. 画面そのものはBASE側の仕様です。
ただ、そこに至るまでに情報を出しておくことで、離脱は減らせます。送料と納期を商品ページに書いておく、といった対応です。
Q. どれくらいの費用から相談できますか
A. 直したい箇所が1〜2か所であれば、数万円から対応しています。
まず何を直すべきかを見るところからお受けしていますので、範囲が決まっていない状態でご相談ください。
Q. 自分でやるか、頼むかの判断はどうすればいいですか
A. 色や余白の調整であれば、ご自身でも進められます。
HTMLの構造に手を入れる必要が出てきたら、そこからはご相談ください。途中で表示が崩れると、元に戻すほうが大変になります。
Q. 作り直したほうが早い、という場合もありますか
A. あります。
カートの機能が事業のやり方に合っていない場合や、扱う商品数が大きく増えた場合です。その場合はECサイト制作・構築でご相談ください。判断がつかない段階でも構いません。
Q. 何が原因で売れていないのか、自分では分かりません
A. 専用ツールとAIで分析するECサイトの分析・診断もご用意しています。
原因の切り分けから始めたい場合は、こちらをご覧ください。
ご相談ください
作り直す前に、できることがあります。1か所ずつでも構いません。
創業から23年、500社を超えるお客様のサイトに関わってきました。大阪から全国どこでも対応しています。



